セブ島の日本人ママさんたちの間で、まことしやかに囁かれるウワサがあります。
「韓国人の子がセブで飛び級したらしいよ」
フィリピンの勉強の進み具合は、自国(韓国や日本)に比べてゆっくりだから希望すれば学年を飛ばせる……。そんな話を耳にしたことはありませんか?
セブの教育制度の関係で、不本意ながら「ひとつ下の学年」に入れられてしまったわが子。
「もし飛び級ができるなら、本来の学年に上がれるチャンスがあるかも?」
淡い期待を胸に、わたしの子どもが実際に通った2つの小学校で確認して見えてきた「フィリピンでの飛び級」は本当に可能なのかを、お伝えします。
1. 実際に通ったセブの現地校2校に聞いてみた
「本当に飛び級という制度があるのか?」
この疑問をぶつけるべく、子どもが入学した2つの小学校で、それぞれ先生に質問をしてみました。
1校目:モンテッソーリ教育校
子どもは自ら学び、自分に必要な時期に必要な課題に取り組んで成長していく『自己教育力』を備えていることを前提とするモンテッソーリ教育。
「3学年が一緒に学ぶモンテッソーリ教育の代表的な縦割りクラスを採用していますし、そもそも日本とフィリピンではカリキュラムが異なります。1年学んだのち英語力や学習の理解度が十分だと判断できたら、次年度からひとつ上の学年に移り、生年月日的に適切な学年に移ることは可能ですか?」
2校目:学習面で高評価をもらった一般的な私立校
「家庭教師をつけていないのに、勉強の出来が素晴らしい」と面談時に先生から褒めていただいた際、恐る恐る聞いてみました。
「子どもは生年月日上1つ上の学年に該当します。昨年通ったセブの学校で、日本から持参した修了証明(Certification)の関係で1つ下の学年に決まってしまったようですが、学力が十分であれば飛び級することは可能なのでしょうか?」
数週間後(毎度遅いフィリピン人)の回答(2校共通)
しかしながら、返ってきた答えは想定外。
「NO。前学年の修了証明(Certification)がないとダメです」
現場の先生たちは、わたしの提案を聞いた瞬間「確かに、それもありかも」という反応を見せたので、一瞬「イケるか?」と期待しました。
しかし、学校からフィリピンの教育庁(DepEd)などに問い合わせたところ回答は「飛び級はできない」だったようです。そもそも「制度の入り口でシャットアウト」されるのが現状なのだと思います。
2. なぜ「飛び級」は都市伝説化したのか?
では、なぜ「韓国人の子が飛び級した」なんてウワサが流れるのでしょうか。調べていくうちに、フィリピンの教育改革が関係していることが分かりました。
諸悪(?)の根源「K-12」の導入
2012年に「K-12」という新教育制度が導入される前までは、今よりルールが曖昧だったそう。制度が変わった前後の混乱期までは、校長の裁量や、フィリピンお得意の交渉(?)で、なんとかなっていた時代があったようです。
逃げられない「LRN」の監視
しかし、現在は生徒一人ひとりにLRN(Learner Reference Number)という政府管理のIDが付与されています。このIDにより、過去の成績や修了証明書がデータベースで一元管理されるようになりました。
かつてのような「書類の融通」で学年を飛ばすことが、物理的・システム的に不可能になったのです。つまり、巷で囁かれる飛び級は「K-12導入以前の古い話」か、あるいは「非常に特殊な例外」。今となってはほぼ都市伝説と言ってもいいでしょう。
3. 飛び級を夢見るより「今の学年」でセブの学校をエンジョイ
実際に確かめた結果「飛び級して、生年月日に合致する学年に移る」という作戦は、今のフィリピンでは極めて難しいことが分かりました。けれども、わたしは落胆せず前向きに捉えることにしました。
「早く卒業すること」がゴールでは、もちろんないからです。日本に比べて学習の進み具合が遅くても、着実に学び、無理のない環境で成功体験を積み、自己肯定感を高めるほうが重要だと個人的には考えています。
なぜなら、英語で習うハンデだけでなく、現地校の場合、フィリピン語やキリスト教の授業の負担が大きいためです。社会科で、フィリピンの休日や歴史上の人物、気候などを習ったと聞くと、数年しか住んでいない国で馴染みがないのに大変そうだなと気の毒になります。
わたしの教育方針は、基本「健康で元気が1番」に立ち返ることができました。それに親の仕事の都合や、英語を話せるようにしてあげたいという親の思いで連れてきた子どもが、セブや英語を嫌いになってしまったら本末転倒ですから。
